= Randy Meisner 3部作 =

(2001/12)

 彼ほど自由奔放に生き、故に浮き沈みが激しい人も珍しいでしょうね。POCOの「Pickin up Pieces」では、LPには彼の名がクレジットされていなかったと思いますし(CDの中には「Supporting vocals and bass by Randy Meisner」と有りますが)、またEAGLESの成功がなければ89年のオリジナルメンバーでのPOCO再結成に呼ばれていたかわかりません。

 さて、「Randy Meisner(78年)」「Black Tie(86)」そして「Meisner, Swan & Rich(94)」を彼の3部作と勝手に呼ばせていただきます。

ソロ1作目「Randy Meisner」
 多くを彼個人のフェイバリット曲で占めていること、再録の「Take it to the limit」ですらピアノの伴奏であること、故にアルバム全体が地味な仕上がりで、プライベート盤の色彩が強く、人によっては評価が悪いアルバムです。EAGLESを期待すると裏切られてしまいます。私は好きなアルバムですが、好みが分かれるでしょう。
 アルバム1曲目の「Bad Man」はGlenn Frey/JD Southerの共作で、サントラ「FM」(CD入手可)にも収録されています。5曲目「Please be with me」は先にクラプトンがアルバム「461 Ocean Boulevard」で取り上げた曲で、カントリータッチの曲です。9曲目「If you wanna be happy」、ジュリアン・ロバーツの主演映画「My Best Friend's Wedding」(97)にオリジナルのJimmy Soulが収録されています。「美人と結婚すると毎日気が抜けないから、幸せになりたいなら不美人と結婚しなさい」と説く楽しい歌です。全体的には、ミディアムテンポやスローな曲が占めています。尚、EAGLES脱退からこのアルバムまで、彼は故郷でカウボーイをしていたそうです。

「Black Tie」
 「Meisner, Swan & Rich」のライナーノートに90年結成と書いてある為、多くのサイトで間違った記述があります。実際は86年にLPがリリースされており、91年出版の日本盤CDには、84年の結成で2年掛かりでアルバムを作成、90年(?)にシングル「Learning the Game」がカントリーチャートにのぼったことから、CDでの再発になったという内容の記述があります。資料が少なく、謎の多いプロジェクトです。
 CDは再録のようで、LPで聴けたランディ唯一のボーカル曲「Learning the Game」は、ボーカルが変えられていて非常に残念です。アルバムの内容はオリジナルとカバーが混ざったアルバムで、オリジナルは秀作が多いと思います。ロカビリー、AOR、R&B、カントリーと多様な曲が上手く収められています。
 仲間が集まって、好きな曲を演ったという雰囲気が有り、その意味ではプライベートな作品、かな!?。このアルバムを出したBench Recordは後にも先にも「Black Tie」以外をリリースしたことは無いようです。多くのミュージシャンが名を連ねているのは、2年という期間に多くの人が個々の都合で出入りした為でないでしょうか。

「Meisner, Swan & Rich」
 本国よりも日本で1年以上も早く先行発売(2000年4月)となった嬉しい作品です。94年の作品ということですから、「Black Tie」(86年)の延長ということを無視しても、レコード会社にせっつかれた訳でもなく、前作から更に気の合った仲間で、良い物が出来たらレコード 会社に持ち込もうとでも考えて作ったのではないでしょうか。
アルバム構成は「Black Tie」と似ていますが、それよりもカントリー・ウエストコーストサウンドに近いと思います。やはり私はランディがボーカルを取った「My How Things Have Changed」と「(It's like I) Never Had Broken Heart」が好きです。特に前者は過去を振り返る内容の詩で、深く考えると何やらEAGLES時代の事を言っているのではないかと思ってしまう曲です。全曲で30分ちょいという短いアルバムですが(Black Tieもそうです)、素晴らしい出来です。

 彼の活動は、この後Electric Rangeのプロデュース、WCR参加と続いていきます。
 私が上記3作を3部作としたのは、それ以外のアルバムが、商業主義・ヒットを意識した作品ではなかったのかという気がしたからです。勿論自分なりのかなり勝手なこじつけな解釈です。ただ、これら3作は時代に媚び、猛烈に売ってやろうという雰囲気は無いことは確かです。

 残念ながら、Randy Meisnerの作品は、現在殆ど廃盤になっていて、入手可能なのは、自主制作盤のWCR2枚と「Meisner, Swan & Rich」だけです。新しいファンの為にも再発を希望します。


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