= ロック界のサム・ペキンパー Warren Zevon =


 久々にこのキャッチフレーズをWebで見かけました。

 映画界で異才を放った故ペキンパー、音楽界という違いがありますが、Zevonの生き方が多くの点で重なる為、付けられた名前です(異端児であるとか、才能はあるのに不遇であるとかの意味が込められています)。最近この言葉は聞かれなくなりましたが、音楽性が変わったわけではなく、ただ単に話題に上らず、マイペースで音楽活動を続けているからではないでしょうか。

 Warren Zevonは69年に「Wanted Dead or Alive」(69)(入手可)でデビュー。映画「Midnight Cowboy (邦題「真夜中のカウボーイ」)」でその中の一曲が使われ、注目は浴びたようですが、全く振るわなかった為、彼自身、このアルバムを不本意なものと位置付けています。

 その6年後、ジャクソン・ブラウンの助けによりアサイラムと契約、彼のプロデュースで「Warren Zevon」(76)をリリース。ここから、リンダが「Hasten down the wind (風にさらわれた恋)」「Poor Poor Pitiful Me」を採り上げたことで一躍名前を知られることになります。「風にさらわれた恋」はZevonのテイクも悪くはない、いやむしろ私は良いと思う。こういう音楽もできるのだなあと以外でした。

 一般的に知られている代表曲は次のアルバム「Excitable boy (78)」に収められた「Werewolves of London」、この曲は映画「Color of Money」(邦題「ハスラー2」)に新録したものが収められています。クラプトンの「It's In The Way You Use It」のヒットとヘンリーのアルバム未収録曲「Who owns this place」があるため、持っている人も多いのでは!? 変な曲と言えば変な曲ですが。

 「Bad Luck Streak in Dancing School (ダンススクールの悲劇) (80)」「Stand in the Fire (Live盤、80)」とリリースしますが振るわず、「The Envoy」(82)を最後に、アサイラムレコードの一連のアーティスト整理により彼も契約を破棄され、レーベルをVirgin、Giantと転々としていきます(昨年出した作品「Life'll kill ya」でもレーベルを移籍)。アサイラムの契約破棄後、自暴自棄になったのを支えたのがJDサウザーだったそうです。

 売上は「Excitable boy」が1番良かったようですが、雑誌・評論家筋には「ダンススクールの悲劇」がベストと書かれています。私はレコード会社を移籍しての「Learning to Flinch (93)」(Unplugged Live)を挙げます。アンプラグド故、彼のボーカルをじっくりと堪能できる作品です。彼の声質は、涸れ気味の声で、高音部がきついのか、それをカバーするのに似たような歌い方になってしまうのが欠点だと思います。更に、毒が有り、好き嫌いがはっきり別れる音楽です。

 アサイラム時代のアルバム全部がCD再発されたわけではなく、日本では2枚だけで、「ダンススクールの悲劇」は輸入盤で入手できます。Live盤(Tapeで可能)と「The Envoy」だけ入手できないですね。96年に2枚組の「I'll sleep when I'm dead (Anthology)」が出ており、アサイラム以外の曲も聴けてお薦めです。



アサイラムレコードは80年代になり、経営危機から所属アーティストのリストラを行っていて、ジャクソン・ブラウンとリンダ・ロンシュタットを残し、70年代にレーベルを支えたミュージシャンを次々と切っていきます。EAGLESのメンバーも例外では有りません。現在はエレクトラに吸収され、レーベル名だけを残しています。


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