= 遅咲きの花 Electric Range =


 音楽の分類というのは、まったくもっていい加減です。例えば、Flying Burrito Brothersはカントリーロックの位置付けですが、今の耳で聴けばカントリーなのです。勿論、ストーンズでヒットした「Honky Tonk Women」をやっているバンドを当時カントリーバンドと宣伝しても、カントリーファンからは無視されるのは一目瞭然なのでしょうが。

 ではこれから紹介するElectric Rangeはどうなのでしょう。まずはバンドの紹介から。

 バンド自体は69年結成で、アトランテックレコード傘下のClean Recordsと契約して71年にSTARBUCKという名で、Don Everly(エバリーブラザース)のプロデュースでアルバム作成・録音までしていますが(後述のメンバーとは多少違います)、結局リリースまで至りませんでした。その後、解散を強いられ、バラバラに音楽活動を続けます。故郷に戻って曲作りを続ける者、スタジオミュージシャンとして活動する者、ローカルバンドを作って活動する者、様々だったようです。

 95年にオリジナルに近いメンバーが再度集まり、Smokehouseというレコード会社からバンド名と同じアルバム「Electric Range」でデビューを果たします。レコード会社も力を入れて、この手の音楽が得意なRandy Meisnerにプロデュースを依頼したようです(客寄せ・話題作りにランディに依頼した面もあると思います)。CDに直に「Produced by Randy Meisner」とプリントされていたり、プロデューサーとして写真掲載されてますので、彼自身もこのバンドが気に入ったのではないでしょうか。耳で確認はできませんでしたが、バックボーカルとベースで数曲レコーディングにも参加しています。他にChris Hillmanも参加していて、かなりの力の入れようだったことが感じられます。この時のバンドのメンバーはBilly Darnell(lead guitar,vocals)、John Alden(acoustic guitar,vocals)、Peter Bradstreet(keyboards,vocals)、Jon Westfall(drums)、Richard Roll(bass)でした。

 彼らのここでのサウンドは、明らかにカントリーロックでした。このアルバムはお薦めできます。ただ、遅咲きの花とか言われてかなり話題にはなったようですが、セールスは今一つでした。悪いところは無いのですが、時代に合わなかったのでしょうか。

 2枚目のアルバム「Destiny's Deal」を98年リリースしています。このアルバムではメンバーはJohn Alden/Peter Bradstreet/Billy Darnellの3人になってしまいます。

 もともと、作品の大半はAldenが作っていましたが、ここでは彼が全曲リードボーカルをとっています。プロデューサーはAllen Day & Billy Darnellと表記されています。

 マンドリンも曲によっては使っているので、ウェストコーストサウンド的な面を残していますが、Aldenの声の調子が良くなかったのか、全体的にエコーを掛けすぎで、後期のPOCOをスケールダウンさせた感じのサウンドです(AORに近くなってきています)。1枚目のアルバムが良かっただけに残念です。


「Destiny's Deal」でのAldenのボーカルは、前作と比較して、レコードの回転を早くしたように多少高めですが、スローの曲では震えてしまって曲を壊しているのです。


 この話題は、02年1月現在BBSに残っていますが、何時消えてもいいように内容を付け足して取り上げました。




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