= 最後のアメリカンR&Rヒーロー Bob Seger =


 何故か日本でヒットしないBob Seger。彼の野太い声はジョン・フォガティー(CCR)にも似ていて、またスプリングスティーンと共通する点がかなりあります。アメリカでの人気はそのスプリングスティーンに並ぶぐらいはあるのではないでしょうか。Eaglesファンにはデトロイト時代のGlenn Fryにオリジナル曲作りを勧めた人物。そして「Heartache Tonight」でのGlennとの共作、そんなイメージがあると思います。

 彼の最大のヒット曲は映画「ビバリーヒルズコップ2」でGlenn Freyの代わりに歌った「Shake Down」(全米1位)ですが、アルバムはそれより前の「Stranger in Town(78)」「Against the Wind(80)」「The Distance(82)」あたりが1番脂ののっていた時期だと思います。

 Bob Seger、1945年5月6日デトロイト生まれ。父親は音楽家を目指すバンドリーダーで、Bob自身もラジオでソウルミュージックを聴いて育ったそうです(フェイバリットは「James Brown Live at the Apollo, Volume 1」)。61年に“The Decibels”という3人組のバンドのリーダー格として音楽活動を始めました。次に、オルガニストとして“Doug Brown & the Omens”に加わりましたが、直ぐにソングライター兼ボーカリストとしての才能が開花し始めました。バンドは“The Beach Bums”と改名してレコードデビューを果たします。但し、この時リリースした曲はBarry Sadlerのヒット曲「The Ballad of the Green Beret」をパロった「The Ballad of Yellow Beret」という曲で、直ぐに訴えられたそうです。そしてこの後、ソロ活動に移って行きます。

 66年からキャピタルレコードと契約する68年までに、Bob Seger and the Last Heard名義で5枚のシングルをリリースし、そのいずれもデトロイトのローカルチャートのTOP10にチャートインしました。この時期のシングルレコードは、現在でも中古&安価で入手できることから、かなりの枚数がプレスされたのではと推測します。そしてこの66年〜68年には高校を卒業したばかりのGlenn Freyがセッションで時々参加していたそうです。61年の音楽活動開始から約15年という異常なほどの長い下積み時代を経て、75年の「Beautiful Looser」で火が点くと、水を得た魚の如く躍進し続け、アメリカ全国区に名を知らしめるのです。スプリングスティーンのE Street Bandと同じように、彼もまたSilver Bullet Bandというパートナーと巡り会ったことで、更に力を発揮していきます。

 Bob Segerがアメリカ一般大衆から指示される理由の1つは、スプリングスティーンと同様、彼の曲で取り上げられている詩が、アメリカ資本主義のピラミッドの底辺にいる国民大多数、俗に言うブルーカラー層、彼らにとって身近なことを歌っているからだそうです。スプリングスティーンはくどいまでにスプリングスティーン節(言葉を変えればワンパターンとも取れますが、ファンにはそれが何とも言えなかったのです)を聴かせるのに対し、BobはR&R、カントリーロック、ハードロック、バラードとバラエティーな曲を聴かせてくれます。EAGLESの「Heartache Tonight」も完璧にGlennがBobの影響を受けた曲、Bobがイニシアティブを取って作ったのではと感じさせられます。

 95年以降、新作がないので、多くのファンはそろそろと期待しているのではないでしょうか。


シングル (Bob Seger & the Last Heard名義)
East Side Story c/w East Side Sound (May 66)
Persecution Smith c/w Chain Smokin' (July 66)
Sock it to Me Santa c/w Florida Time (Dec 66)
Heavy Music (part 1) c/w Heavy Music (part 2) (67)
Vagrant Winter c/w Very Few (67)

アルバム
★Bob Seger System名義:
Ramblin' Gamblin' Man (68)、Noah (69)、Mongrel (70)、Brand New Morning (71)
★Bob Seger名義:
Smokin' O.P.'s (72)、Back in '72 (73)、Seven (74)、Beautiful Looser (75)
★Bob Seger & the Silver Bullet Band名義:
'LIVE' BULLET(76)、 Night Moves(76)、 Stranger in Town(78)、 Against the Wind(80) 、Nine Tonight“LIVE”(81) 、The Distance(82)、 Like a Rock(86)、 The Fire Inside(91) 、Greatest Hits (94) 、It's a Mystery(95)


本文中の「Shake down」は、当初Glenn Freyがボーカルを取る予定でしたが、実際歌ってみると曲の雰囲気が映像に合わなかった為、詩の一部を変更してBob Segerが歌って採用されたそうです。Glenn FreyはBobを師と仰いでいるそうで、Irving AzoffにBobを薦めたのはGlennだったのかもしれません。
欧米では、ブルカラー/ホワイトカラーの階層意識がはっきりと別れているそうです。
さらさんからリクエストを受けた時、残念なが、私は「Shake Down」「Even Now」「Roll Me Away」しか知りませんでした。評論家からはアルバム「Against the Wind」(白馬が川原?を競って走っている絵のジャケット)が一番評価されているのは知っていましたので、今回その前後のみのチェックしかしておりません。その為、彼のファンには内容が不十分かもしれませんが、お許しください。但しそれら冒頭で述べた3枚のアルバムを気に入ったことを付け足します。




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