= John David Souther 再評価すべき人 =


 Eaglesの「The Best of My Love」「New Kid in Town」の共作者であり、6番目のメンバーとまで言われたJD Souther。アルバム「ならず者」の裏ジャケットには彼も横たわっていますね。人に提供する曲が良すぎて、自分の曲が駄目なんて言う人も多くいます。

 彼は、1945年にデトロイトで生まれました。60年代後半にLAに移るまで、幼少時代の殆どをテキサス州Amarilloで過ごしました。彼の音楽ルーツはそこで培ったC&Wにあるのです。Longbranch/PennywhistleやSHF(Souther Hillman Furay Band)や彼の初期の作品はカントリーロック&フォークな作品が多いのも頷けます。高校時代はJohn David & Sender若しくはThe Cindersという名で知られているバンドを結成していました。

 LAに移ってからGlenn Freyと出会うまでは、セッションワークをして過ごしていました。2人の出会いは、Freyが追ってLAまで出てきた原因になった、恋人のお姉さんの彼氏がJDだったそうです。Freyはその彼女とは直ぐに別れたそうですが、JDとの交友は続き、意気投合してLongbranch/Pennywhistleというデュオチームを結成してレコードデビューを果たすのです。その時のルームメイトにジャクソンブラウンもいました。

 Longbranch/Pennywhistleの作品は、Freyのボーカル曲の方が目立つかなといった印象を私は持っています。当時の音楽シーンを考慮すると、プロモートがしっかりしていれば、決して失敗する作品では有りません。映画「Vanishing Point(71)」に彼等の曲が使われています。

 リンダ・ロンシュタットの恋人だった時期もあり、70年代初期の彼女のアルバムにはJDの名もクレジットされています。勿論、曲の提供もしていますので、恋人であったという理由でクレジットされているわけではありません。「Don’t Cry Now」はJDのプロデュース作品です。

 SHFでは、バーズ/フライング・ブリト・ブラザース/マナサスという大経歴を持つChris Hillmanと、バファロー・スプリングフィールド/POCOと渡り歩いたRichie Furayと組みアルバムを2枚リリースしますが、ヒットには結びつきませんでした。但し、ジェームズ・テイラーが取り上げたMEXICOはJDの作品で秀作です。この曲が収録されているアルバム「TROUBLE IN PARADISE(75)」は残念ながら廃盤です。James Taylorのテイクは可能です。

 彼の作品が一般に評価されない理由として、時代に乗り切れていないという点と、特に日本では、誤った宣伝コピーが原因と考えます。唯一時代に乗れた曲が「You’re Only Lonely」だったのです。おりしも当時はAORブームの真っ只中で、皮肉にも彼の音楽ベースのカントリーロック色が薄れた作品だったのです。但し、アルバム全体としは、AORな仕上がりではなく、むしろ次作に近いシンプルなR&Rな仕上がりで、AORとして宣伝するには無理があるという話も聴きます。

 その後の作品を続けて出せなかった為に(次の作品「Home by Dawn」をリリースするまでに6年の年月を費やしました)人々から忘れ去られたことと(久々の作品で話題にはなりましたが)、日本では「You’re Only Lonely」をオンタイムに聴いたロックファンには、ミーハーなイメージを持たれてしまい敬遠され、逆に「You’re Only Lonely」のファンには、そのメロウさが足りなかった為に振り向かれなかったのかもしれません。今「Home by Dawn」を聴くと、彼の多彩な才能を感じ取れ、素晴らしい作品であることを認識させられます。

 80年代や90年代のJDは映画のサウンドトラックを手掛けたり、役者業をしたりしていたようです。現在は積極的な音楽活動は控えているようです。

 個人的になりますが、私は「You’re Only Lonely」のヒットを知る世代ですが、この曲を含め、彼を再評価する必要があると感じています。



AORという音楽は、ロックファンからは軟弱と取られる危険性があります。80年代中盤から代わりに使われたARでは、もっと広範な分類になるのでイメージが変わります。AORにこのようなイメージを持つのは、私及び私の周辺だけかもしれませんので、その点はご了承ください。但し、音楽業界が、AORの名盤として宣伝することは、イメージを固定してしまう恐れがあり(勿論AORに限りませんが)、私個人としては功罪と思っています。

「Vanishing Point(71)」は、陸送屋の主人公が、ちょっとしたことから犯罪者になってしまい、追われて破滅の道へと突入していく典型的なロードムービーですが、映画マニアには今でも指示されている作品です。

JDのDiscographyは、JIMMYさんのコレクションリストがかなりフォローしていますので、参考にしてください。





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