= Terence Boylan =


 BBSで話題になった(02年5月)ことから興味が湧き、このコーナーで取り上げることになりました。彼の作品は少ないですが、良い作品を残しているので、興味を持たれた方は是非聴いて見てください。

 Terence Boylanもまた、アサイラムレコードでの再デビュー組の一人です。他には先に取り上げたJD Souther、Warren ZevonやAndrew Goldなどがそうです。

 彼は名プロデューサーであり、リンダのマネージャーをしていたこともあるJohn Boylanの実弟です。Johnの紹介でGlenn Freyがリンダのバックバンドに雇われたのは有名な話のようです。68年のThe Sunshine Companyというポップコーラスグループの曲「Look, Here Comes The Sun...」にTerenceとJohnのクレジットがありますので、60年代後半にはSongwriterとして活躍していたと思われます。

 彼の対外的音楽活動は12歳の時に始まります。但し、作曲に関してはもっと早くからはじめていたようです。62年にGreenwich VillageでBob Dylanと出会う機会があり、Dylanに傾倒していきます。そして、地元(?)ニューヨーク州バッファローの喫茶店やいろいろな場所で、演奏して力をつけ、63年と64年のNewport Folk Festivals のThe New Songwriter's Concertに参加したのです。

 時間は少し飛び大学時代、Hudson ValleyにあるBard Collegeに入ると兄のJohnと一緒に夏休みの間、Greenwich VillageのNight Owl Cafeなどで演奏をします。その時にレコード会社が彼に目を付け、ソロ作品の前に仲間に声を掛けて出した作品がThe Appletree Theatre「Playback(67)」です。ジョン・レノンがお気に入りの作品の1つと言うぐらいミュージシャンからの評判は良かったそうです。

 そして大学に戻り、同じ大学の仲間であった、後にSteely Danを結成するDonald FagenとWalter Becker全面協力の下で、ソロアルバム『ALIAS BOONA(68)』を制作するのです。このアルバムにはプロコムハルム調にアレンジしたDylanの「Subterranean Homesick Blues」が収められていて、本家Dylanにも物議を醸し出したのです。

 そして、日本で再発CD化が実現した『ALIAS BOONA』 はFAGEN・BECKERの最初の録音となった作品であったため、彼等のファンからは長らく再発を待ち望まれた作品でした。

「Playback(67)」(The Appletree Theatre名義)MGM/ Verve Forecast
「Alias Boona(68)」MGM/ Verve Forecast
「Terence Boylan(77)」Asylum
「Suzy(80)」Asylum
「Terence Boylan(99)」*Spinnaker
 *Asylumでリリースした2枚のアルバムから選曲、一部新録
 *Spinnaker RecordsはTerenceの自己レーベルです。


 「Alias Boona」とそれ以前の作品は未聴の為、コメントを差し控えますが、Asylumレコードからリリースされた2枚の作品にはウェストコーストのミュージシャン(EAGLESやTOTOのメンバーその他)が録音に参加しており、佳作に仕上がっています。多分、今の音楽業界の流れでは、彼もAORに括られて紹介されるのでしょうが、後にAORの代わりに使われるようになった音楽分類の用語AR(AORとすると、Boby Caldwellなどのクールミントサウンドというイメージが当方は強い為)とした方がより的確だと思います。ドナルド・フェイゲンのサウンドに近いものがあり、品の良いセンスのある曲を提供しています。ハーモニーで参加したTimothyの声が曲にマッチしており、彼が好んで使われるのが分ります。

 現在は映画に曲を提供したり、他のアーティストに曲を書いたりと地味ですが、彼なりの活動を続けています。



70年代ウェストコーストサウンドのオムニバス盤「Mello Rock Hits of the 70's: Summer Breeze」(輸入盤)にTerenceの“Where are you hiding?”が収録されています(02年5月現在、この曲はこれでしか聴けません)。他にもAmerica“名前の無い馬”、ジェームズテイラー“Mexico”、ジャックテンプチン“Peaceful easy feeling”やジョーウォルシュ、POCO、リンダロンシュタットなどなど収録されているのでお薦めできるCDです。





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