自分の音を主張した男 Tommy Bolin =


 本来、Tommy BolinはJames Gang以外では何もEAGLESとは接点が無く、「I LOVE EAGLES」の1コーナーで語るには相応しくないかもしれません。彼は、特に日本で、非常に評価が低く、それでいて根強いファンも多く、名誉挽回の意をこめて再登場させていただきます。

 そもそも彼の評価が低い原因はDeep Purpleに有ります。Ritchie Blackmore脱退後、ギャラに惹かれJames Gangを辞めてPurpleに参加しました。そしてPurple最後のギターリストとして悪名を残す結果となったのです。

 Ritchie在籍時のPurpleはコテコテのハードロックでした。評論家達には、Purpleは良くも悪くもRitchie色を払拭し、新生パープルを目指していたと言われています。そして、別のバンドとして聴くならば、決して悪くは無いし、評価されるべき人物と言われています。

 私の友人達から事情を聞く機会がありました。

 「Bolinは日本公演直前に骨折をして、椅子に座ってギターを弾いた」
 「Ritchie=Purpleの名曲を、ファンを全く無視して、自分のアレンジで弾いて曲を壊した」

 などなど。特に後者は致命的なミスと言えるでしょう。スチュワート・スミスが「Hotel California」を自分流に弾いたら同じ目に遭うのでしょう。私なんぞはHENLEYのカリフォルニア音頭バージョンすら怒りを越えて悲しくなりました。それだけギタースタイルが違ったのです。そしてPurple解散後にソロで「富墓林」と書かれたジャケットのアルバムを残した直後に他界した為に、日本人からまともに取り上げられる機会を長らく逸するのです。

 彼のギターサウンドは、ブルース&ファンク・ロックです。ライブでボーカルその他と絡んで弾くと最高の味を出します。上述のように、PURPLE関連以外で彼の不評は有りません。Zephyrの頃はスタジオ盤よりも、彼のギターを堪能するということではライブ盤がお薦めです。Zephyr脱退後にゲストで参加したライブ盤「Zephyr Live」です。そしてスタジオ盤は、PurpleやソロよりもJames Gang時代の作品、特に「Bang」がベストです。但し、近年、彼の音源が発掘されてかなり公式に発表されていますが、残念ながらJG時代のライブ音源は有りません。

 基本的にウェストコーストサウンドでは有りませんから、皆にお薦めするわけではありませんが、ハードロック好きで、Purpleファンから悪いイメージをお聴きの方には、先入観を捨てて、全く別物という認識で聴いていただきたいところです。晩年はドラックでボロボロであったようですが、それでも25歳という若さですから、パワーはあります。




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