テキーラ・サンライズの思い出 =


 ワイングラスに氷を入れて、テキーラとオレンジジュースを注ぎ軽く混ぜる。そしてグレナデンシロップを静かに注ぎ、オレンジスライスをグラスの縁に飾り出来上がり。テキーラの適量は有るとは思いますが、グラスのサイズや好みで変えて楽しんでください。

 昔読んだ雑誌には、オレンジスライスではなく、枝を取ったチェリーを沈ませると、それが日の出の太陽を模して、グラデーションと合わさり綺麗な彩りになると説明が有りました。オレンジジュースの代わりにレモンジュースをテキーラと等分で混ぜるとテキーラサンセットになります。

 テキーラ・サンライズ。このカクテルは、日本ではメルギブソンの映画「テキーラ・サンライズ」で一躍有名になったのではないでしょうか。EAGLESのLPに付いていた訳詞には、“もう1つの夜明け”って訳されていたと思います。昔は無名なカクテルでした。

 現在は、居酒屋でも置いてあるところがかなりありますね。但し、ワイングラスでなく、普通のグラスで、殆どオレンジジュースです。酷いところでは銅製のマグカップに出しているところもありました。流石にホテルのバーで飲むとアルコール度が比較的濃いですが、1杯千円近くするとなると考えますね。

 もう15年ぐらい前になるでしょうか、友達と行ったカクテルバーで、老バーテンダーに飲み方を聞いたところ、特に決まりは無く、そのまま飲んでも掻き混ぜてもかまわないと教えてもらいました。グラデーションを崩さずに気取って飲むもよし、貴方次第ですが、いくら軽いと言ってもテキーラベースですから飲みすぎにご注意ください。知らぬ間に足に来る可能性が有りますよ。


 さて、長い前置きを挿みましたが、本題に移ります。

 私は、このカクテルに情けない思い出があります。ちょうど10年前、仕事でLAに出張した時のことです。出張は5泊7日でした。東側からアメリカに入り、最後の2晩がLAでした。アメリカ東部と西部の時差に加え連日の接待。前日は韓国レストランで、真露で潰れてしまいました。

 そして最後の日は現地の支店の仲間とスナックに行ったのです。そこで頼んだのが、テキーラ・サンライズでした。メニューにはなかったのですが、作れるということでしたので頼んだのです。ところが、物凄く強かった。弁解をするわけではないのですが、私は酒は強からず弱からずです。この日ばかりは体調が最悪で、強いアルコールの匂いを喉で嗅ぐことが不覚にもできなかったのです。

 ウェイトレスからは、「メニューに無い物をお前のために作ったのだから飲め」って怒られるし、仲間には「掻き混ぜてもいいから飲めって」言われるし。氷が溶けるまでゆっくりと飲みましたが、半分が精一杯でした。日本国内で飲むと子供だましのオレンジジュースが、本場ではあんなに濃いとは思いもしませんでした。考えてみれば向こうは、アルコール度の強いテキーラがいくらでもあるんですよね。でもその濃い飲み物が、EAGLESが、Don Henleyが、Glenn Freyが好んで飲んだ本当のテキーラ・サンライズだったのでしょう。

 その後LAに行く機会が有りませんが、またトライしたいですね。




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