= David Geffin と Asylum Records =


 Eaglesが70年代当時在籍していたレコード会社はASYLUMですが、それ以外にもこのレコード会社はウェストコーストサウンド若しくは70年代のアメリカ音楽シーンを語るのに欠かせないものになっています。

 設立者David GaffinはCSNYの元マネージャーであり、アメリカ音楽業界で最も成功した人物の1人と言って良いでしょう。

 AsylumレコードはNYに本社を置くATLANTAレコードが、LAまで管理できないとDavid Gaffinに出資してつくらせたのが始まりでした。彼は、CSNYをATALANTAレコードに売り込んで成功した手腕が買われたのだと思います。

 設立したばかりのこのレコード会社は、主に若手のシンガーソングライターや、デビュー失敗のミュージシャンの再生など次々と手掛けて成功を収めます。ジャクソン・ブラウンやネッド・ドヒーニは、60年代後半からソングライターとして名をあげていましたが、自分の作品をリリースする場がなく、そういったアーティストに手を貸し、燻りに火がついたのです。

 また、リンダロンシュタットは、この時期ソロ歌手としての模索中でしたが、彼女が取り上げた曲がヒットすることで、ライターの知名度が上がり、相乗効果となって次々と彼等はデビューをしていくことになります。勿論、中にはEAGLESが取り上げて知られるところとなったTom WaitsやDavid Blueなどもいます。

 アサイラムレコードの凋落は80年代初頭に始まりました。設立者のGaffinがGaffinレコードを設立して離れると、音楽シーンの流れが変ったせいもあると思いますが、経営難から次々と所属アーティストをリストラしていきます。それはEAGLESのメンバーも例外でなく、契約上ソロアルバムを各自1枚残しますが、リンダとジャクソン・ブラウン以外の70年代に同レーベルを支えたアーティスト達の首を次々と切っていくのです。

 Glenn Freyのソロ1枚目はそこそこヒットしたのにも関わらず、2枚目は流行に添わないと拒否した為、アービングのMCAに話を持っていき移籍したのは有名な話です。

 その後エレクトラレーベルと対等合併して、エレクトラ・アサイラムと名乗ります。そして、時を同じくして、レーベルのデザインも一新されました。それまでのギリシャ風建物の重厚な扉の絵から、月面にアサイラムの頭文字Aの字を意味する逆V字(エレクトラは、頭文字Eを意味する一ひねりしたリボンが、同じ月面に浮かんでいます)になりました。

 商業面では、アニター・ベイカーやカーズで一時期盛り上がりましたが、再起を賭けるテディー・ペンタグラスと契約を交わし話題になった程度で萎んでいきます。現在、アサイラムレーベルは名前だけで、エレクトラに統一されています。70年代に終止符を打つ出来事と捕らえた人も多いのではないでしょうか。

 一方、Gaffinレコードを設立したDavid Gaffinですが、ここでの彼の手法は、金銭に物を言わせたかどうかは分りませんが、大物アーティストと次々に契約して、所属アーティストを増やします。私が記憶している中ではJohn Lennonの「ダブルファンタジー」が一番センセーショナルだったと思います。

 但し、「Milk & Honey」はYOKOのソロアルバムを拒否して別レーベルからリリースされています。また、こちらは、Asylumに比べると、文化的に貢献したという感覚はありません。

 彼はそのGaffinレコードもMCAに売却して、新たなる野望、映像・ゲームなどに挑戦しているようです。まだ、過去の成功には及ばないようです。またMCAへ売却後のGaffinレコードも最初ほどの勢いは感じられません。



日本では当初、ASYLUM RECORDSは東芝音工から出版されていました。EAGLESのアルバムも最初の2枚は音工版が存在し、レーベルが若干異なります。特に「Eagles First」は見開きジャケットになっていて、中ジャケットに焚き火を囲むメンバーの写真が使われています。数少ない、EAGLESのコレクターズアイテムになっています。「Desperado」はレーベルのデザインが少し違うだけで、ジャケットは同じです。
Tom Waitsも「Heartattack & Vine(80)」以降、同レーベルを離れますが、彼の場合はこの時期に音楽志向に変化が有りますので、それ故に契約続行を断念したのではないでしょうか。





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