= 名家の御曹子 Ned Doheny =
“家名がビバリーヒルズの通りに使われるほどの金持ち”
アルバム宣伝やライナーノートに必ず書かれます。損なのか得なのか?
彼もまた、テキーラサーキットの中で音楽を学び、巣立って行った一人です。
Dohenyはアサイラムレコード第一号契約アーティストで、「Ned Doheny」(73、「Postcards
From Hollywood」収録)一枚を残しただけで、Colombiaレコードに移籍。そこで出した「Hard
Candy」(76)の方が評価されています。その後「Prone」(79、廃盤)を作成しますがレコード会社から販売を拒否され(後に日本のみのでリリース)、レコード会社を移籍して(というよりも解雇のようです)数枚アルバムを出しています。正確にはわからなかったので、Colombia以降のオリジナルアルバムだろうと思われるタイトルを列記します。
「Life After Romance」(88) 入手可、D-Villeレコードからボーナストラック付再発
「Love Like Ours」(91)
「Postcards From Hollywood」(91) 日本企画のスタジオ・アコースティックライブ盤
「Between Two Worlds」(93)
「Life After Romance」がリリースされた時は、カムバックということで、かなり注目を浴びていたことを覚えています。その間何をしていたかって?何分御曹子ですから。。。。
彼は70年代後半から始まるAORの一翼をなしていたわけですが、Colombiaに残した2枚は、当時のAORそのものです。しかし、その後の作品はBoby
ColdwellなどのパーラメントのCMに使われそうなクールミントの効いたサウンドではなく(私はどうしてもAORと聞くとこのイメージがでてきてしまいます)、アダルトロックと言った方がより近いでしょう。時にはファンキーな曲も作り、「Life
After Romance」にはチャカ・カーンが採り上げた“Whatcha gona do for me”が収録されています。ミュージシャンからの評価が高い割に、市場が受けつけなかったアーティストです。
ファーストアルバム「Ned Doheny」は未熟さが残っており、彼の音楽は完成されていないと思います。逆に言えば、このアルバムだけはAORが流行る以前の作品ですから、AORという概念を捨てて聴けると思います。
学生時代に、このレコードが「えとせとらレコード新宿店」に飾ってあり、目を引いたのが、私が彼の音楽を聴いたきっかけです。LPの時代はジャケット写真も購入判断の基準だったのです。
日本では音楽業界にファンが多いのか、根強いAORファンがいる為なのか日本のみの企画盤が多いです。10月に帰省した時、タワー新宿に最後の在庫として十数枚「Ned
Doheny」がワゴンで売られてました。
今思うと「Prone」を手放してしまったのが残念です(レア盤という意味で)。
*AORはその後進化を遂げ、本国アメリカでは死語となっています。ここ数年、再度AORの静かなブームが日本に有りますが、日本だけの現象です。