= 素朴な魅力 Karla Bonoff =


 彼女は数少ない西海岸生まれ(ロサンゼルス)のウェストコースト系のアーティストです。リンダ・ロンシュタットがアルバム「Hasten Down the Wind」でカーラの曲を異例の3曲取り上げたことで一躍ソングライターとして注目をあびますが、それまでにかなりの期間を下積みとしてすごしています。

 1960年代後半、15〜16才だったカーラは姉リサとデュエットを組み、フォーク・クラブ “トルバドゥール” に出演していました。その時にリンダ・ロンシュタット&ストーン・キャニオンの一員だったケニー・エドワーズ(Kenny Edwards)が、彼女の才能に目をとめたのです。

 カーラとケニー、そしてAndrew Gold、Wendy Waldmanを加えて“Bryndle”というグループを結成し、A&Mと契約しレコード・デビュー(シングルのみ)します。ところがトラブルにより、制作したアルバムは発表できずにBryndleは解散することになります。“この時期は、CS&Nの出現直前であり、男女2人ずつの構成から、ママス&パパスとの比較などあって、レコード会社も売り出し方が難しかったのではないか”と彼女自身も振り返っています。

 カーラは再び“トルバドゥール”での歌手活動に戻っていきます。そして副業にバック・ヴォーカルを務めるなどしていたところ、リンダのバンドに加わっていたケニーとゴールドにリンダを紹介され、才能が認められるのです。

 リンダが「Hasten Down the Wind」で取り上げたカーラの曲は「Lose Again」「If He’s Ever Near」「Someone to Lay Dawn Beside Me」で、デビューアルバム「Karla Bonoff(77)」に3曲とも収録されています。このアルバムは全体的にスローで、静かな曲で占めています。リンダに陽と陰の二面があったら、陰の面ではないのかと思ってしまうほど似ています。

 次の「Restless Nights(79)」は前作よりもアップテンポの曲が増えて、表現が増えた感のするアルバムです。聴くとしたら、やはりこのアルバムが聴きやすくてお薦めでしょう。特に1曲目「Trouble Again」は、リンダが気に入って彼女のアルバムで取り上げようとしたそうですが、カーラが自分で歌うと拒んだそうです。アップテンポの曲で、リンダの歌う曲調ずばりなんです。リンダはそれからちょうど10年後の89年に許可を得て「Cry Like a Rainstorm, Howl like the wind」でとりあげました。ボーカルにはリンダほどのパンチ力は有りませんが、素朴さがあって、それがファンを魅了するのではないでしょうか。

 その後の活動ですが、アルバム「Wild Heart of the Young(82)」をリリースした後、80年代後半に、他のウェストコーストのシンガー達と同様、彼女もレコード会社との契約を切られてしまいます。

 その間も地道に活動を続け、いろんな所で名前を見つけることができます。


84年、映画「Footloose」“Somebody's Eyes”提供
86年、映画「About Last Night(86)」“Step by Step”J.D.Southerとの共作
88年、ソロアルバム「New World(88)」Gold Castleからリリース
89年、リンダ・ロンシュタット「Cry Like a Rainstorm, Howl like the wind」に数曲提供
94年、映画「8 Seconds(94)」“Standing Right Next to Me”Wendy Waldmanとの共作

サントラ提供曲は共作・提供のみでパフォーマンスはしていません。但し、OST“Footloose”の“Somebody's Eyes”はトム・スノウ作で、カーラが歌っています。


 勿論、ここに挙げた活動はほんの一部と思います。

 95年には25年振りにBryndleを再結成し、今まで2枚のアルバムを出し、平行してソロ活動を行っています。Bryndleも大手のシップと契約できないなど苦戦はしているようですが、ファンに支えられて頑張っています。

 70年代を支えたミュージシャンが、段々と場を狭められていくのを聞くと、非常に寂しく思います。



日本には彼女の根強いファンが多くいますので、90年以降も何度か来日しています。90年、97年、99年のブルーノートが有名だと思います。
Bryndleの自主制作盤、「Bryndle(95) 日本盤ボーナストラック有り」「House Of Silence」は、彼女の人気の為なのか、日本盤が存在します。





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