= POCO 兄貴分バンド =


 良くも悪くもEAGLESと一緒に語られるバンド、兄貴分と言われながらも名前しか知らない人が多いバンドPOCO(以前は名前すら知らない人が多かった)。

 もともとPOCOはBuffalo SpringfieldのRichie FurayとJim Messinaに、バッファローの最後のアルバム「Last time around」にペダルスチールギターで録音に加わったRusty Youngを核に結成されました。残りのドラムとベースはオーディションでということだったそうですが、ドラムにはRustyの在籍していたローカルバンド“Boenzee Cryque”からGeorge Granthamを連れてきて、実質オーディションはベースのポジションだけを行ったようです。

 TimothyとRandyが最後までその座を競うことになりますが、最終的にRandyを選んだのです。RandyのPoorはBoenzee Cryqueとライバル的なバンドであったことと、Poorはリッチーらのマネイジメントオフィスと同じだったことが決め手となったのではと推測します。

 そしてレコード会社ですが、当初Richieはバッファロー時代のアトランティックレーベルと契約が残っていたそうですが、グラハムナッシュが在籍したホリーズのアメリカでの権利を持っていたEpicが、CSNと交換でPOCOと契約しました。

 EPICでは7枚のスタジオ盤と2枚のライブアルバムを残していますが、ABC(後にMCAが吸収)移籍時にEPICとの契約上のトラブルが有ったと聞いています。その都合で移籍後に“LIVE”がEPICから出たのかもしれません。

 デビューからリユニオン前までの作品を4期に別けてみました。


第1期(デビュー〜メッシーナ脱退)

Pickin’ up the pieces (69)
Poco (70)
Deliverin’ (70)

「Pickin’ up the pieces」では、録音途中でRandyは脱退してしまいますが、コーラスで彼の声を確認することができます。レコードではRandyの名前はクレジットされていませんでした。サウンド的にはバッファローに似ています。メッシーナの手腕が冴え、佳作に仕上がっていて、この時期は評価が高いです。リッチー脱退でバンドが終わっていたら、この時期が真のPOCOの音だったと言っても良かったでしょう。
第2期(〜リッチー脱退)

From the inside (71)
A good feelin’ to know (72)
Crazy eyes (73)

結局、リッチーは自分のサウンドを確立することができずに、SHF(サウザー・ヒルマン・ヒューレイ・バンド)を結成して抜けていきます。個人的にもこの時代のPOCOには全く印象が有りません。Timも曲作りに関しては駆け出しといったところです。勿論この時期にPaul Cottonが加入しています。
第3期(〜Tim・George脱退)

Seven(74) epic
Cantamos (74) epic
Head over heels (75) abc
Live (76) epic
Rose of Cimarron (76) abc
Indian summer (77) abc

バンドの顔であるリッチーが抜け、バンドの危機に直面。ところが、意外とこの時期が一番安定した音を聞かせています。勿論メッシーナが居た頃の斬新さは有りませんが、ウェストコースト・サウンドの特長であるコーラスが冴え渡った曲が占めています。「Head over heels」の1曲目に収められた“Keep on tryin”は、その後のTimのスタイルである“1人アカペラ”に大きく影響したのではないでしょうか。
第4期(〜解散)

Legend (78) mca
Under the gun (80) mca
Blue & Grey (81) mca
Cowboys & Englishmen (81) mca
Ghost town (82) atlantic
Inamorata (84) atlantic

皮肉にもTimとGeorgeが抜けて、RustyとPaulの2人を全面に出した「Legend」がゴールドディスクを獲得して、バンド史上一番売れた作品になりました。この後は2人が居れば他のメンバーは誰でも良いとばかりに、メンバーチェンジを繰り返します。「Inamorata」では、誰がメンバーなのかを明確にクレジットしていません(TimやGeorgeも部分的に録音に参加しています)。
「Under the gun」〜「Cowboys & Englishmen」の3枚では、唯一スプリングスティーン調の「Under the gun」が耳を引く程度です。個人的にはAtlanticレーベルに移籍しての2枚のアルバム(CDはRhino)が気に入っています。本来であれば、まず聴いて見てくださいと言いたいのですが。。。



 POCOのベスト盤はたくさん編集されています。残念ながらレーベルを越えてのベスト盤が存在せず、「Ghost Town」「Inamorata」は再発を望みます。


2002年11月に久しぶりに新譜「Running Horse」をリリースしました。このアルバムからメンバーになったJack Sundrudは90年頃からPOCOのサポートメンバーとして活動しており、リユニオン時の来日公演にも来ています。また、オリジナルメンバーのGeorge Granthamも戻り、やっと第5期のメンバーが固まった感じがします。




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