= Desperado(ならず者) 愛が必要 =


 ここのところ、この曲の日本人アーティストのカバーが続き、BBSでも話題になり、更には、ご意見板で訳詞の質問までありました。

 Eaglesの詩は隠し意味があるので、解釈が非常に難しく、プロの訳詩家も苦労しているのではないでしょうか。

 訳詩というのは、直訳しても抒情に溢れる詩にはならず、言葉の羅列にしかなりません。「どうしてこの文章がそこまで意訳できるのか」といった指摘があるかもしれません。

 それとは別に、歌い手によって、違った訳をされる場合があります。男と女、大人と子供といったように違いがあると、大きく内容を変えた方が相応しいことがあるのです。

 特に、この歌のように、多くのアーティストに歌われていると、シンガーの思い入れは様々かもしれません。ここでは、Eagles・Don Henleyを考慮して訳詞に挑戦しています。明らかな間違いがあっても、いつもの通り、笑ってお許しください。



ならず者よ、正気になるんだ

長いこと塀にまたがったままじゃないか

頑固者め、理由があるのもわかるが

お前を喜ばす物は諸刃の刀、どのみち傷つく



ダイヤのクィーンは駄目だ、お前には手に負えない

ハートのクィーンが、お前の一番のはずだろ

目の前に置かれた物だって素晴らしいのに

お前は手に入らない物を欲しがるのだな



ならず者よ、若さは取り戻せないのだよ

痛みと飢えが、お前を安らぎへ導いている

そして自由、それは巷で語られているだけ

お前は孤独に囚われているのだ



冬に、お前の足は寒さを感じないのか?

空は雪こそ降らないが、太陽も輝かず

昼と夜を区別することも難しい

お前は、感情の高低も全て無くなるのだ

感覚を失っていくことが、楽しいかい?



ならず者よ、正気に返るんだ

その塀から降りて来い、心の扉を開け

雨かもしれない、でもお前の上には虹が架かっているじゃないか

誰かに愛してもらえ 、その方がいい

愛してもらえ

誰かに愛してもらうんだ

手遅れになる前に



塀にまたがる
 この部分だけを抜き出すと、“2つの世界をまたいでいる(例えば無法者の世界と堅気の世界)”とか“高い場所に上り、下界を見下ろしている”とも解釈できます。個人的には、ここではそれらの解釈がしっくりこなかったので、“塀にまたがった状態=普通でない状態”と理解して、その前文で“正気になるんだ”という言葉を選びました。また、それは異常な状態を固持する“頑固者”へと繋がると思っています。

ダイヤのクィーンの件(くだり)は、「どうしてダイヤのクィーンを引かない」とも解釈できますが、最終的に大方で採用されている解釈を採用しました。
 実際、この詩を訳しながら、この部分の解釈について、考えが何度も変りました。
 ハート=愛(心)、ダイヤ=高価な物または金銭と解釈すれば、愛を取るか銭を取るかという選択になり、最終節の「愛してもらえ」に繋がります。そしてこう解釈すると、これは、彼らの商業主義を否定する歌の一つと見ることができます。


**訳詩の無断転載を禁止します**




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