= No Nukes チャイナ・シンドローム =


 個人的には、原発が必要かどうかの意見を持っていますが、まぁここでは“そんなこたぁどうでもいい”です。

 殆どの方は既に詳細を知っていると思いますが、また少し前にフィニルさんもとりあげていましたが、最近ロックファンになられた方もいるので、そういった方の為におおくりします。

 1978年公開映画「THE CHINA SYNDROME(邦題=チャイナ・シンドローム)」、原発事故を題材にした映画で、原子力発電所の事故によって溶融物が流れ出すと、アメリカの裏側の中国にまで到達する恐れがあることからついた題名。簡単にこの映画を説明すれば、原子炉の欠陥を知った主人公達3人(技術者やTVの人気キャスター等)は、事実を告発すべく動き出すのだが、政治的圧力などが加わって。。。。

 私はこの映画をテレビで随分昔に見ましたが、殆ど記憶に残っていません。多分、今見れば大した作品でもないでしょう。ところが、この映画の翌年、79年4月にアメリカ・スリーマイル島で原発事故が起こり、空想の物語が現実となり、原発の恐ろしさを人々に植え付けることとなりました。

 そして同年9月に、反原発の市民運動家とJohn Hall、Jackson Browne、Bonnie Raitt、Graham Nashの4人のミュージシャンが中心となり、多くのロック・ミュージシャンに呼びかけ、原発反対を掲げて立ち上がりました。第2のウッドストックと称されることもある、マディソン・スクエア・ガーデンでの5日間のロックフェスティバル、それが“NO NUKES”です。

 残念ながらEAGLESのメンバーは誰も参加していませんが、前述の4人に加えBruce Springsteen、James Taylor、Doobie Brothers、Carly Simon、CSN、POCOなどウェストコースト系のミュージシャンが数多く参加しています。勿論ノーギャラです。01年に劇場映画として再公開されています(以前LDで出ていたそうです)。

 No Nukes関係で、今でも入手できるものとしては、ライブCDしかありません(レコードでは3枚組みでしたから、ボリュームタップリ具沢山です)。

 実は、このライブは当時としては非常なまでに貴重な音源が、数多く含まれています。JBの「The Crow on the Cradle」は公式盤では、このライブ盤と“The Folk Collection VOL.3”でしか聴けませんし、何よりも、JBの80年代の活動を決定付けたスプリングスティーンとの共演“Stay”が聴けます。そのスプリングスティーンも、Eストリートバンドを引き連れて演奏した“Devil With The Blue Dress Medley”がアルバムに収録。

 またこの時期のDooibeやPOCOのライブ音源などは、公式盤では他に有りません。Doobie Brothersの名前でこのアルバムにクレジットされている「Power」は、John Hallに& James Taylorが加わり、更にバックボーカルでNicolette Larson とGraham Nash が参加という夢のラインナップです。

 CSNにしても、Nashが他2人と一緒のステージに立つことに難色を示していた時期で、JBの説得もあり、最後の最後に決断して3人で演奏しています。

 映像ではもっと貴重なステージシーンが含まれているそうで、70年代のアメリカン・ロックを愛する者にとっては、まさに涎物だそうです。70年代総決算のお薦めのライブアルバムです。

 大救済運動は、真っ先に80年代のBob Geldofを思い浮かべますが、70年代初頭にはジョージ・ハリスンのバングラディッシュがあり、80年代に入る直前に、この“No Nukes”があったのです。

 JBはこの後スプリングスティーンと交友を深め、彼に憧れ、EストリートバンドのLittle Stevenのネイティブ・アメリカ「Sun City」運動に影響を受け、彼も独自の政治活動を始めていくことになります。



アメリカの裏側は、実際には中国ではないですが、アメリカ人にとっては、地球の反対側にある、やたらと国土のでかい、得体の知れない国という印象があったのでしょう。というか、誰も知らない小国の名をつけるより、中国の方がインパクト有りなのかも。。。
“No Nukes”という言葉は“原発反対”とか“NO原子力発電”という意味ですから、今もそういった団体に言葉は引き継がれて使われています。
スリーマイル島の原発事故と映画「チャイナ・シンドローム」は、セットで語られる事が多く、それだけタイムリーな事件だったのでしょう。映画の出来事は、時として現実に起こることもあり、1995年に公開された「OUTBREAK」は、エボラ出血熱の流行と重なり、大ヒットしたことは記憶に新しいところです。





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