= SACDとは何ぞや!? =


 最近、じわじわとSACDがショップの棚に増えてきたと感じるのは、私だけでしょうか?
 一部のメーカーが、現在の音楽CDに代わる次世代メディアとして推進しているSACDとは、何でしょうか?
 耳慣れない用語が多少出てきますので、その説明を合わせて解説していきます。

 最初に、“サンプリング周波数”という用語を理解しなければなりません。これは、アナログ/デジタル信号の変換(AD変換)を1秒間に何回行なうかを表す数値で、単位はHzで表されます。つまり、同じ1秒の中でどれだけデジ・アナ変換をして情報を詰め込ませることができるかということです。自ずと変換回数が増えるほど情報量が多くなり、このサンプリング周波数は高ければ高いほど良いということになります。

 現行CDは16ビットリニアPCMと呼ばれる方式で、44.1KHzでデジタル変換を行っています。それに対してSACDでは1ビット・ダイレクト・ストリーム・デジタル(略してDSD)という方式で、現行CDの64倍の2.822MHzでデジタル変換を行っています。

 実現(再生)するサウンドは、現行CD“再生周波数範囲5〜20khz、ダイナミックレンジ96db”に対し、SACDは“再生周波数範囲100khz以上、ダイナミックレンジ120db(可聴帯域)以上”を実現しているそうです。


再生周波数範囲:サンプリング周波数と同じ単位“hz”を使いますが、全く違うものです。音は全て波型を描いていて、その波長を示すものです。
ダイナミックレンジ:機器がどれだけ細かい信号まで再現できるかを示すもので、単位はデシベル(db)



 CDケースの裏面に“AAD”とか“ADD”若しくは“DDD”という表記が印刷されていることをご存知ですか?

1) 最初のアルファベットは、アナログとデジタルのどちらで録音されたのかを意味します。
2) 2番目のアルファベットは、その録音された音をアナログとデジタルのどちらでミキシング(編集)されたものなのかを意味します。
3) そして3番目の最後のアルファベットは最終的な音源がアナログとデジタルのどちらなのかを意味します。

 つまり、AADなら“アナログ録音でアナログのままで編集され、最後にデジタル変換された音源”となり、DDDは“デジタルで録音され、デジタルのままで編集されたデジタル音源”となります。



 同じようなことがSACDにも言えます。“DSD Recording”“DSD Mastering”“DSD Mixing”とい言葉があります。

1) DSD Recording:録音の段階からDSD方式で録音することです。
2) DSD Mastering:アナログで録音されたものやDSD以外の他のデジタル音源(例えば現行CDのデジタルマスター音源など)をDSD方式にリマスターしたものです。
3) DSD Mixing:アナログや他のデジタルトラックを直接DSDミキサーに入れてDSD方式でミックスダウンすることです。

 つまり、SACDの特性を100%引き出すには“DSD Recording”でなければならないのです。


 現在“DSD Recording”されたSACDは極少数です。旧譜は当然よくて“DSD Mastering”ですから、仮にSACDが普及したとしても、現行CDのリマスターのように、将来の新技術で再SACDリマスター化なんてこともあり得るわけです。(基本的には、アナログで録音されたオリジナルマスターテープの音をどれだけ忠実にデジタル化できるかという作業になります。)

 SACDは、1ビットデジタルという特異性から、市販機材ではデジタルコピーが出来ない仕組みになっています。ですから、メーカーの狙いは、音質向上よりもコピー防止にあると言われています。更に、現行のCDプレーヤーではSACD再生はできません。現時点では、CDを2層にして、通常のCD音源を別の層に収め、現行プレーヤーではそのトラックを再生する仕組みになっています。当然、普通のCDより割高です。また、この原稿を書いている時点では、SACD対応のカーステレオはまだ無いと思います。



 ここからは、全く個人の主観を述べさせていただきます。

 CDが世に出てから20年が経ちます。常に新しい物が捜し求められるのは当然のことですが、このSACDは、オーバースペックではないのかと個人的には感じてしまいます。より良い音で鑑賞しようとするなら、環境も整える必要が有ります。もう少し気軽に楽しみたいと思う消費者には、痛みの極みではないでしょうか。

 CDが売れないとボヤキながらも、再販価格制度に守られ、売れる努力をしないメーカーにも問題が大有りですが、コピーの問題に関しては、もう少し私達がモラルを持って行動をしないと、自分の首を絞めてしまう気がします。


DVD-Audio、dts、SACDと次世代候補メディアは複数有りますが、ここにきてソニー・フィリップス陣のSACDが一歩リードしてきた気がします。





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