= 形容詞“AOR”撲滅運動
AOR捨てますか、それとも音楽止めますか? =


 何度もくどいのですが、この“AOR”という言葉、どうも好きになれません。

 日本の音楽業界は“AOR”という言葉を何にでも、見境無く、馬鹿の一つ覚えで使っています。一時期、ビルボードの分類別けにも使われていたそうですが、とっくに廃止されていますし、世界で通用する言葉ではありません。

 ここで、形容詞“AOR”撲滅運動を宣言させていただきます。

 そもそも、アダルト・オリエンタル・ロックって何ですか?


 ★さて、ここで問題です。私は長らくAORの真ん中にあるアルファベット“O”をORIENTAL(東方)と解釈していました。実際、Googleで検索してみると、そのように表記している人がかなりいます。やっと謎というか誤解が解けました。HIROSHIさん、ご指摘有難うございます。

 改めて辞書を引き直して意味を確認いたしました。Orientedということになると、「○○志向」ということになるので、「大人志向のロック」「大人味のロック」とでも訳すのが正解でしょうか!?つまり文法的にみて“Oriented”という言葉がなくても通じることになります。そこいらに、現在AR(ADULT ROCK)と改称されている理由があるのかもしれません。

 OrientedはOrientとスペルが似ていますが、全く意味が違い、“東方”という意味はありません。


 業界では“AOR”という言葉を帯に入れるだけで、売上が上がると思っています。

 知ってますか、当時の硬派なロック少年達の大多数は(いえ、ロック少年は皆硬派でした)、このAORという言葉で形容された音楽分野を軟弱とし、非常に忌み嫌い、ファンと名乗る者に投石していたのです。

 隠れファンが存在するのも事実ですが、そんなのは極一部です。今でも幼児体験がトラウマになって、パブロフの犬的条件反射で、AORを無意識に避ける者が数多くいるのです。――Doobieだって初期を好む人が圧倒的に多いでしょう!――だから、より多くの人に聴いてもらおうとするならば、この形容詞を使ってはいけないのです。


 頻繁にこの言葉が使われるアーティストを、大きく3つに分類しました。

(1) Totoのメンバーが録音に参加したアーティスト
(2) デビッド・フォスターがプロデュースしたアーティスト
(3) 分類の難しいSSW(シンガーソングライター)系ソロ・アーティスト


 (1)の適用は許します、既にToto自体がRock市民権を剥奪されたバンドです、構いません。(2)に対しては、80年代前半までの作品に限り許可です(仕方が無い)。(3)は絶対に駄目です。はっきり言って迷惑です。これらのアーティストを紹介するのに、AORの言葉で躊躇するリスナーが非常に多いのです。

 Dan Fogelberg はウェストコースト系SSWであってAORでは断じてないです。Randy Meisnerの「One More Song」はAOR名盤ではなく、Rock名盤です(リアルタイムでAOR名盤などとは、間違っても言わなかった)。CBS時代のJDサウザーをAORと言うのは、仕方ないにせよ、恐ろしいことにBilly JoelまでをAORと言ってしまうのです(そんなこと言ったら、エルトン・ジョンだってAORやでぇえ)。ここまでくると困り物です。

 さあ皆さん、形容詞“AOR”を使うの止めますか、それとも音楽止めますか!?


 だからと言って、完全撲滅できるわけでもなく、音楽業界は今後も使い続けるわけです。このコラムは、話題の谷間、洒落と思って読んでいただけたなら幸いです。。。。

 当時のロック少年達も、“We’re all alone”だけは好きだったことは付け足しておきましょう。



AORという言葉を否定しているのであって、サウンドは否定していません、多分。
一部、偏見を持った表現をわざと使っていますが、洒落と思ってお許しください。本コラム自体が洒落ですから。。。。
CCMという音楽分野が有ります。コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージックの略です。簡単に言えば、サウンドはAORで、詩はキリスト教的内容ということです。私達が聴く分には、詩まで理解できないですからあやふやにされていますが、アメリカでは、クリスチャン・ミュージックの分類がちゃんとあります。





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