= 映画紹介3 「Paradise Alley」
邦題パラダイス・アレイ =


 この映画はコラム6「酔いどれ詩人Tom Waits」でちょこっと取り上げたものですが、もうちょっと深くご紹介します。


「Paradise Alley(78)」

ストーリー
舞台は1940年代のニューヨーク。兄は頭が切れるが身体が弱い。弟は身体はでかく力はあるが気が優しく臆病な性格。スタローン扮する役は、身体は小さいが(身長175cm、アメリカ人としては小粒)度胸だけは天下一品。そんな3兄弟が力を合わせ、弟を地下レスリング通称ヘルズキッチンのレスラー“サラミキッド(首からサラミをぶら下げてリングに登場)”にしたて荒稼ぎをして、貧乏のどん底から這い上がるサクセス物語。そして最後は宿敵どつきのテリー(テリーファンク)を倒すのです。


見所
スタローンは身体が小さいことにコンプレックスを持っているようで、映画中ではしきりに弟に「俺は度胸はあるが、チビだからレスラーになれない」と言っています。彼はロッキーではリングを一回り小さくすることで身体を大きくみせていました。また、「ランボー」を見るとやはり彼は小粒ですね。
レスリングシーンはテリーファンクが担当していて迫力が有ります。少なくとも、この時代のどの映画よりも迫力を感じることができます。
あのシルベスタ・スタローンがテーマ曲の「Paradise Alley天国に近づきすぎて」を、あの濁声で歌っています。スローな曲ですので音程を外すことも無く、案外良い曲です。ちなみに弟のフランク・スタローンも歌っていて、フランクの歌手デビューはこの時期だったと思います。
この映画は、Tom Waits初の出演映画で、どつきのテリーやそのボスがたむろしているバーで、彼らと一緒にちらちらと出てきて、若かりし頃の彼の顔を見ることが出来ます。


音楽
Tom Waitsの曲は「PARADISE ALLEY」「ANNIE'S BACK IN TOWN」の2曲だけですが、この2曲は彼のオリジナルアルバムには未収録で、ジャージーで最高の曲です。以前はライブでもこれらの曲を歌っていたようです。オーケストラを使ったテーマ曲のインスト・バージョンが数種類収録されていますが、全体的にはジャズぽく雰囲気の良いアルバムにしたてられています。サントラ盤はドイツのマイナーレーベルからCDが出されています(音質からするとブートではないと思います)。大手のネットショップのリストに載ることはなく、ドイツのサントラ盤をメインに扱ったマイナーなショップに時々入荷します(他の怪しげなショップではバックオーダー扱いです)。



 この映画はシルベスタ・スタローンが脚本・監督したものですが、興行的には失敗に終わっています。観客は彼にロッキーのようなアクションを期待していたからです。この後、結局、彼はロッキーシリーズとランボーに戻って行くのです。




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